星崎レンスターズ [神慮の機械外郭]

サークル「神慮の機械」装丁人兼雑文係・10年来の同人二次小説屋の星崎連維が共和国の下僕として作品や同人話をしてます。なかみはようかん。

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PCを新調したらマルチディスプレイでカクつき問題とスリープ解除数分遅延でハマった話 (2)

自作トラブルから無縁になりたくてBTOを選択したのに分かるかこんなん!!!に2発も当たって凹んだ件、その1の「マルチディスプレイに起因するPCカクつき問題」に続き2発目である。

rennstars.blackcats.jp


なんせこの2番目の「スリープ解除がなぜか数分遅延する」問題、結論から言うとおそらく現時点では解決不能。殴りたい。


タスクスケジューラからのスリープ解除がなぜか数分遅れてタスクがコケる件

とりあえず原因と対応

  • 症状:タスクスケジューラのタスクでスリープ解除を指定した時間から3分後に解除され、タスクが実行されない
  • 原因:ASUSのIntelチップセット向けマザーボードでは、3.5時間以上のスリープ解除時に使われるACPI Wake Alarmのバグで25秒/時ずつ解除時間が遅延していく
  • 対応:無い
  • 敗因: ASUSマザーのバグと思われるがユーザー母数が少なく、声も上がりにくい……。



何が起きているのか

分かりづらいのだが、こういうことである。

  1. タスクでスリープ解除タイマーをセットする。自分の場合寝る時に目覚ましにしてるので7時間後ぐらい。
  2. セットした時間から3分後ぐらいに遅れてスリープ解除される
  3. スリープ解除されてるがタスク実行時間を過ぎてるのでタスクがコケる

意味が……わからない……。

スリープが解除されない、などは良くある話である。しかし解除はされるが数分遅れるってどいうこと?

いわゆるWindows Updateスリープ解除問題とは無関係

実は最初にハマったのはこの遅延問題ではなく「なぜかシステムが午前4時にスリープ解除される」。こと。

これ、一番ありがちなWindows Updateでスリープ解除されてしまう問題はグループポリシー設定で対処済みだったし、おまけに確かにWindows Update系のタスクが走ってはいたがそれはスリープ解除から50分後、つまり「普通に起動してたから」に過ぎない。

これは原因不明で直ってしまったので今もよくわかっていないが、1つ前のセカンドディスプレイ問題でのUSB周り同様、午前4時起動は結果的に別問題だったのである。

で、このトラブルと格闘していたら、なぜか目覚まし代わりにタスクスケジューラでセットしているタスクの指定実行時間から約3分後にスリープ解除され、当然3分後なのでタスクが実行されないという本題の方に直面したのであった。

スリープ解除されない、ならまだしも、3分後に解除される is 何

しかも不思議に思って、試しに数分後などにタスク時間をセットしてスリープに入るとちゃんと正しい時間に復帰して上がってくる。何かの間違いだったかと思って放置していたら(目覚ましなので)翌日にまったく同じ問題が発生。発症条件が謎過ぎて困ってしまった。

「オペレーターまたは管理者が要求を拒否しました」……も無関係!

もう一つ振り回されたのが、この「指定から3分後にスリープ解除」されるのでタスクが実行されなかった結果、タスクスケジューラの「前回の実行結果」「オペレーターまたは管理者が要求を拒否しました」が残ること。

これもタスクスケジューラでは定番問題らしい。ぐぐってみると同じタスクの前回のインスタンスが残ってる(要は終了してない)場合、並列で実行する設定にしてないと起動しない、だそうだ。

後から考えればスリープ解除が遅れることとは全然違う話なのだけど、実行しようとして失敗するのに3分掛かったように見えるのかも等々これまた色々設定を変えては試して無益に終わる結果となった。つ、疲れる。

スリープ問題は検索汚染がひどい

地味にフラストがたまるのだが、そもそもPCのスリープ関連は検索汚染がひどい

まぁ汚染と呼ぶには可哀そうなものも多いが、スリープが解除されない、勝手にされる等々、こんな解除が数分遅延するみたいなマイナーなネタは完全に埋もれてしまうのである。

毎度この手の日本語検索がキツいトピックは英語圏に頼るのだけど、残念ながら今回はそっちも空振り。毎度頼みの綱redditなんかでも皆無。

結果的に下の方で別の検索単語を得たことで後から分かったが、そもそもこの問題に触れているのは国内kakaku.comのクチコミと、見つかった限りたった1件のブログのみなのである……。そりゃ見つからんわ。


powercfgで色々と調べる

ただ、先の夜中問題の際にpowercfgコマンドで色々調査できることがわかり、powercfg /sleepstudyで生成されるHTMLのレポートを見ていてふと気づいた。

sleepstudyのレポートって最初ちょっとわかりづらいのだけど、スリープから解除された理由はスリープに入ったときのイベント(System Power State: Sleep)Exit Reasonに入る。スリープ解除のイベント(System Power State: Active)Entry Reasonではないので注意。

で、SleepのExit Reasonを見ると、正しくタスクスケジューラのタスクでスリープ解除された方は

Timer - Windows は、スリープ状態の解除を要求したスケジュールされたタスク 'NT TASK\セットしたタスク名' を実行します。

が入っているのに、3分遅れでスリープ解除された方は

Device -ACPI Wake Alarm

になってる。違いはこれしかない。

ACPI Wake Alarmのバグ?

で、「ACPI Wake Alarm スリープ 遅延」でぐぐったら一発ヒット。

lileenchantee.blog.fc2.com

この方がASUS PRIME H510M-Aで遭遇したのがこれ。

  • スリープから約3.5時間まではアプリケーションがスリープ解除するが、約3.5時間を超えるとACPI Wake Alarmがスリープ解除するようになる。
  • ACPI Wake Alarmがスリープ解除する場合、1時間毎に約25秒ずつスリープ解除が遅れていく

これだよ!

自分のタスクでも7時間程度のスリープ時間で3分の遅延。25秒*7=175秒で大体3分だ。あってる。自分の環境はASUS TUF GAMING Z690-PLUS、要するにIntel Z690チップセットなのでド当たりである。

で、解決……しなかった

上記のページに書いてあった対応は以下の通り。

  • ACPI Wake Alarm(ACPI ウェイク アラーム)が存在する場合はACPI Wake Alarmが優先して使われ、ACPI Wake Alarmが存在しない場合はLegacy RTCが使われる。
  • UEFI(BIOS)設定でACPI Wake Alarmを無効にできない場合でも、デバイス マネージャー上で無効にすれば同じ結果になる。
  • デバイス マネージャー上で無効にする場合はHKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\acpitimeのStartを4に変更して再起動する。

ところがそこのサイトにも書いてあるが、

  • UEFI(BIOS)でACPI Wake AlarmをLegacy RTCに変える → 400番台チップセット以降のASUSマザーUEFIにはその設定がない
  • Windows上のデバイマネージャでシステムデバイス内にあるACPI Wake Alarmを無効化する → 500番台以降のマザーでそれをやるとあらゆるタスクからのスリープ解除が無効になり使えない(400番台では機能するとの報告あり)

という次第で、要するに詰んだ

一応ASUSのサポートに英語で(重要)症状を説明して御社のバグではと出してみたけど、初手はまぁ木で鼻をくくったような回答が返ってきた。2022/07/22現在、もう一度念入りに調査を依頼しなおしているけど望みは薄そうである……。

個人的バッドノウハウ解法

とりあえず症状としては繰り返すが

  1. タスクでスリープ解除タイマーをセットする
  2. 3.5時間後以降のスリープ解除が1時間当たり25秒遅延する
  3. 結果数分遅れてスリープが解除される
  4. スリープは解除されているがタスク実行時間を過ぎてるのでタスクがコケる

つまりスリープ自体は解除されるし、遅延時間はほぼ正確に計算できる


よって、起動後にもう一度タスクに足掻いてもらうというのがとりあえずの解法1。

  1. そもそも遅延を織り込んでタスクを早めにセットする
  2. タスク設定の「スケジュールされた時刻にタスクを開始できなかった場合、すぐにタスクを実行する」を入れておく

……が、これだとなぜか起動してから更に3分ぐらい実行までに時間が掛かってしまう。バックアップ等「走ればいい」ものならそれでいいが、正確な時間が欲しいタスクでは使えない。


そこで、もう最高にバッドハックだと思うのだが、ワイの答えは

  • スリープを解除するだけのダミータスクを別途本タスクの数分前にセットする

これである。……いやこれ手動でやってたら発狂すると思うけど、幸い自分の場合はスクリプトからschtasksを使って時間を登録している。なのでスクリプト内で

  1. 時間を指定してタスクを作成させる際に、そこから指定時間と現時刻の差を取る
  2. その差から1時間あたり25秒の遅延時間を計算
  3. 指定時間から遅延時間引いた時刻にスリープ解除用ダミータスクを登録
  4. これによってダミータスクで狙った時間にスリープが解除され、1分以内にセットされた本タスクが走る

これでとりあえず解決。


解決っていうのかよこれは!!!!!!


まぁASUSから真っ当な回答が来るなり、UEFI等のファームウェアップデートで解決したらまた報告しますね…………

PCを新調したらマルチディスプレイでカクつき問題とスリープ解除数分遅延でハマった話 (1)

つい先日、数年ぶりにデスクトップPCを完全新調。

人生で初めてPC触れた時からずっと自作野郎で来たけど遂に手間にメゲてBTOに。まーでもこれで面倒なセットアップトラブルなどとも無縁に生きられる! ……と期待してたら見事に裏切られた上に、原因も分かるかこんなもん!!!!!!みたいなトラブルに2つも見舞われたので後に続く者たちのためにここに久々にPC系トラブル対応録などを記すものである。V8。

マルチディスプレイに起因するPCカクつき問題

とりあえず原因と対応:

  • 症状:1秒弱と細かいが完全に一定の間隔でマウスカーソルが引っかかる。動画を再生してみると毎秒1-2フレーム飛ぶ。
  • 原因:メインとセカンドディスプレイの間でリフレッシュレートがわずかでも(60Hzと59.951Hz)異なり、かつ(恐らく)NVIDIA製グラボを使っている
  • 対応:NVIDIAコントロールパネルの「デスクトップのサイズと位置の調整」からセカンドディスプレイの「スケーリングを実行するデバイス」を「GPU」に変更する
  • 環境:NVIDIA GeForce RTX 3060、Intel Core i7-12700F、ディスプレイBenQ PD2500QとモバイルディスプレイDiginnos DG-NP09D
  • 敗因:PC新調と共に買い替えたディスプレイ(BenQ)が60Hzの皮をかぶった59.951Hzだったこと

いやー。分かるかこんなもんその1

USBセレクティブサスペンド問題「ではなかった」

まずマウスカーソルが引っかかる問題については、別途割と知られたUSBセレクティブサスペンド問題というのがある。要はWindowsが一定時間アイドルのUSB機器の電源を落としてしまうため、USB接続/USBドングル経由無線接続のマウスをしばらく触らないでおくと使い出しに1-2秒動かなくなってしまうというもの。これが引っ掛け問題だった

というのも、今も原因は不明だが自分の環境ではWindowsの電源設定→詳細な電源設定でUSBセレクティブサスペンドを無効にすると逆にマウスが常時カックカクしてしまう問題にブチ当たり、よく聞くのとは真逆ながら何か関連性があるのではと思ってしまった。結論から言うとなかったわけですよ、ハイ。

セカンドディスプレイが原因と気づく

で、動画をいろいろ再生したらブラウザ再生だろうがプレイヤー再生だろうが毎秒1-2フレームジャンプしやがることに気づき、マウスではなくシステム全体を疑い始めて色々と調査。グラボのドライバ問題というのもよく聞く話で更新してみても解消せず。

やっぱりUSBやBluetoothの線も捨てきれないので、とりあえずPCに繋いでる全ての線を1本1本抜き差ししていったところ、これが大当たりでセカンドディスプレイへのHDMIを引っこ抜いた瞬間に解消。やっぱ地味な絞り込みだなぁ……。

というわけで極めて安直に「セカンドディスプレイ カクカク」でぐぐったところ、まずはWindows10の仕様でメインディスプレイとセカンドディスプレイのリフレッシュレートが異なるとメインディスプレイのレートに引っ張られてしまう問題があると判明。ただ、これは144Hzなどの高レートゲーミングディスプレイなんかと通常ディスプレイの組み合わせでよく聞く話。ウチは2枚とも60Hzのふつーのディスプレイのはず……

BenQ 59.951Hz問題

ここで、BenQ 59.951Hz問題なる存在を知る。ディスプレイのOS側のリフレッシュレート設定がなぜか59Hzになってしまうというもので、特にBenQはこれが60には直せないという話だった。ただこれはあくまで60にできないというトラブルの話だし、一方で2枚のディスプレイでリフレッシュレートが異なっても単にメインに引きずられるというだけでカクつくという話ではない。

そもそも59.951Hzという「約60Hzを正確に返してる」んだか「本当に60Hzでは無い」んだかわからない微妙な数字が、まさか2枚のディスプレイでリフレッシュレートが違うと判定され、しかもそれがカクつきを生じさせてるとはなかなか気づけなかった……。

NVIDIAコントロールパネルで解決

そもそも掛かってくるページは単にリフレッシュレートが引っ張られるという件ばかりで、直接的にマウスが引っかかるレベルでカクつくという話はなかったものの、冒頭の結論で書いたNVIDIAコントロールパネルの設定を変える話に行き当たったので試したところ無事解決となったのでした。

  • NVIDIAコントロールパネル → デスクトップのサイズと位置の調整 → スケーリングを実行するデバイスGPU に変更。

変えたのはセカンドだけね。メインは触らず「ディスプレイ」のまま。


余談:複合問題は本当にめんどくさい

この手のトラブルが久々なこともあったけど、結局本質的には「マウスがカクつく」という症状からUSB周りやBluetooth周り、ひいては電源管理等々まで疑ってしまったのが時間が掛かってしまった最初の敗因だったかも。

動画のフレームが飛ぶというのも、実はBluetoothの不調でキーボードが再接続を繰り返してるときに類似の症例を経験したこともあって画面描画全般がトラブってるという認識になかなか至れなかった。

いやもー、この手のトラブルシューティングをやるには人生残り少なすぎる、と思ってBTOにしたのに! まさかPCとはある意味では無関係の外部機器、新調したディスプレイの方との合わせ技とは! 先代のメインディスプレイは恐らく普通に60Hzだったので遭遇しなかったんだろうなぁ……。




タスクスケジューラからのスリープ解除がなぜか数分遅れてタスクがコケる

後半に続く

この件、まったく解決していない上にちょっと動きがあるのでまた後日 → 書きました。
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【ネタバレ】シン・エヴァンゲリオン劇場版のシーン感想ダダ書き(後)

シンエヴァ、ふせったー代わりの箇条書き感想の癖にやたらと長くなってしまったので前後編に分割しました。ちなみに二度見三度見の後にちまちま追記してたりしますが個人用なので場所は明記していません。

こっちはヤマト作戦発動以後から。同じくネタバレ全開なのでよろしくゥー。

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繰り返すけど単なる箇条書き羅列なので脈絡とかはないです。

能書き(中書き)

そういえば「どういう奴が書いてるのか」について補足。先日書いた後に人と会話してふと気づいたんですが、自分は確かに年齢としてはエヴァTVシリーズ直撃世代だけどリアタイ勢ではなく、直後ではあるけど後追いタイプなのです。旧劇で追いついて履修して人並みに呆然とした顔で劇場から出ては来ましたがw

ただ、そうやって「直後」から一呼吸置いたおかげか、いわゆるエヴァの謎的な衒学論争からは一歩引いたスタンスで来たし、同人やSSにもハマらなかった。なので、正直言えば「エヴァにそこまで過剰な思い入れは無い」人間が書いているのは確かです。新劇としての純粋な作品力が気に入ってる部分も大きいですしね。Q含めて(←これを言わざるを得ない辺りがエヴァなんすが)

ただ一方で同時に、年代的に自分のオタク人生は常に視界の端にエヴァが存在していた四半世紀だったわけで、世代として意識しない方が難しい存在であり、完結編と聞いて心乱されなかったわけでもない。旧劇の人間模様(特にアスカなど)には深い思い入れもある。それぐらいの距離感であったという点はお含みおき頂ければ。

ヤマト作戦発動後

  • ヴンダー同型艦!!! 同航砲戦!!!!! この辺りはオタクのツボを分かり抜いてる作りだなぁw
  • 冬月が本当に輝いてる。というか「老人が一人で後ろ手組んでゆるりと直立不動」で無双するってどんだけ全力でオタクツボを突きぬいてくるのかw
  • しかも後に「本来無人機でL結界密度バカ高」ってことが判明する。気合だけで宝具の域に達した爺さんかお前は!
  • 「主機はこっちが上」速力勝負! ワシらの初号機がエエ音鳴らしとる……!(ATF生成音) このATF投射推進全開のシーンを見た後で、最後の出撃時のミサトの台詞(後述)を聞くとなお良いのだよなー。
  • 衝角突撃(ラムアタック)は艦船のロマン。いいぞもっとやれ。しかもATフィールドあると合理的という。

最終降下

  • 戦艦誘導弾、音楽の雰囲気といいSEといい完全に在来線爆弾だよなぁw こういうセルフオマージュと旧劇回収/オマージュが折り重なってて、Q以上に庵野集大成感ある。
  • 2号機8号機最終降下。色々大暴れだけど、最後にはやっぱり「ATフィールドを突破力に使う」が「これがエヴァという兵器にしか成し得ない最大の特徴」って感じでテクニカルに好き。
  • しかも! 「手を合わせて」! 瞬間、心、重ねて。だが今重ねられているのは手のひら。反発干渉すること無くただ前にだけ展開されたATF……!
  • エヴァ観てて「女女クソデカ感情」みたいなナウなヤング語を頭に浮かべるとは思わなかった。
  • 最後にさりげなく8号機が「減速ゥ!」してるの、Qの2号機オマージュというか同一テクノロジー描写でもあってこれも好き。
  • 13号機と停止信号プラグ。「所詮は人の作った汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン」ああもう、ここでその基本のキを持ち出して、文字通り十字に掛けられた者にロンギヌス(原典の)をブッ刺すというこの構造自体がいい。
  • 「2号機が13号機を怖れてる」心の壁ATF! 何気に新劇シリーズではこの設定まるで触れられて来なかったことに改めて気づく。これまた「拾った……!」という感慨で一杯だし、それを「心の壁なんだから自分の側に発生させてしまうこともあり得る」って踏み込んで来てるの最高じゃないすか……!
  • こういうとここそ旧シリーズ知らんと新劇つうかシンの面白さを理解しきれんところなわけで。
  • アスカ、使徒侵食拾った!! そしてシキナミシリーズ!!!
  • いやなんとなく察してはいたけど、新劇においては「両親なんていない、私は独り」が文字通りの真実だったって形のひっくり返しはホント上手いなぁ。
  • 惣流。「そこにいるのか」。
  • ヴンダー同型艦ズからのMark9-12。……なんか動きがキモいというか、もっと言うと「ナヨい」の意図的だよなぁw(特に最終盤で8号機にやられるところは「エヴァのコスプレしたキモオタのモーションキャプチャかな???ってレベル)

ゲンドウ君登場

  • 最深部のLCLカラーな環境光。「浮島」っぽく見えるヴンダー甲板。背後に赤いエヴァ。旧作のゲンドウシーンの再現だなぁ。
  • で、即撃ちするリツコ。……ここも感慨がスゴかった。旧作で私怨に対するに自己を仮託したマクロ的な破壊(自爆)を臨み「母さん」のシステムに頼り、挙句に「裏切られた」といって撃たれて死んだリツコが、あの冒頭パリで見せた「覚悟」で秒でゲンドウを撃つ。震えたわ。
  • ネブカドネザル・ゲンドウ。正直この辺はあまり驚きは無く。ミサトを「父の落とし前」の構図にちょっと強引にハメよったなとは思ったけど、まー必要よね。
  • 3回目視聴時追記:ミサトとリツコがゲンドウに補完計画の能書きを聞かされた後、二人とも腕のバンダナに触れながら「神に屈した補完計画よりも、人間と人間の意志を信じます」的なことを言うんですね。
  • この口調がとても祝詞っぽく、また「信じます」など不自然なまでに丁寧語なことで気づいたんですよ。これヴィレ/クレーディトの使徒信条(クレド)なんだろうな、と。キリスト教で信仰の根幹を宣言するみたいなもの。
  • これ、エヴァ衒学的なキリスト教要素という意味では無くて。決して強い人ばかりで構成されているわけがないヴィレ、いやミサトやリツコだって「強くあらねばならぬ」だけの人間に過ぎず、そんな彼らが14年もの間(地獄の生活ですよ実際)一つにまとまり目的を見失わぬための言葉として制定された「信条(クレド)」なのかもな、と思うた次第。
  • ひょっとしてクレーディトの名前はクレドから来てるのかもね。
  • 参考:使徒信条 - Wikipedia
  • 初号機、割と原型留めて主機化されてた……ってわけでもないんだよな、なんか形状復帰するし。つうか初号機を始めとするエヴァが自己を再生成する時、本来人間がつけた装甲板(拘束具)って扱いだったはずの外装のまま復元されるの、いやまぁ作劇の都合と言えばそれまでだけど、「自己認識」に依る姿を取ってるって感じで好きなんだよなぁ。映画マトリックスで自分自身のアバターを精神が勝手に再生成するってのとちょっと似てる。

甲板トークからヴィレサイド:ピンク髪、サクラ、そしてミサト

  • シンジさん。やっぱり覚悟決まった「まま」だよな。いい。乗れ、乗るな、乗るな、乗れと来て、これ。
  • キレるピンク髪。Q時点のシンジに対する態度を俺は十分に「納得」してたけど、できなかったユーザーへの説明アバターでもある……と最初にも書いてたけど、ここでサクラへの呼び水になるとはなぁ。
  • 鈴原サクラさん。「怪我すればちょっと痛いけどエヴァには乗れんようになりますよねその方がマシですよね」なんで間桐桜になってるの!w サクラ繋がり!(型月じいさんの感慨)
  • いやー、誰もが半ば忘れかけてた「シンジはサクラの命の恩人であり、トウジとの関係性を作った張本人」ってのをここでこうも受けて来るとは。これまた「拾った……!」って思った。
  • ピンク髪「明日を生きることだけを考えていこう」や、強いよお前。この汚れた生命を拒む最深部、ヒトが生きていけるとは思えないような世界という「明日」を前に、そこを生きることを考えられるのか、お前は。世代の強さでもあるか。
  • ミサトさん。やっぱ同じところ撃たれてんだっけこれ。
  • 「彼は未だ自分の保護下にあり」……シンジがネルフに来た日から、ずっと。「全ての責任は私にある」……ずっと、ずっとこの人は変わっていなかった。
  • シンエヴァで一番好きなシーンは多分ここです。
  • 大人が、大人の責任を取る作品になってた。
  • ちょっと「破で行きなさいとか言ったくせにQのあの態度w」とか薄っぺらく揶揄してた一部のオタクにざまあって思った(黒い告白です)
  • 裏で8号機が戦ってる同型機主機?シリーズ、いやホントコスプレキモオタみたいな動きをやめろw NO MORE映画泥棒君かと思ったわw
  • マリと冬月。なんだろうな、冬月は漫画版のような世界線あるいは感情だけをどこかで経験した彼の贖罪なのか。最後にはユイ君が何とかするやろ、ぐらいな信頼があるようにも見える。
  • マリのシンジ推しはなんなんだろな。アスカを経由した思い入れなのか、ユイの忘れ形見というだけなのか。この辺は最後までよく分かってない。

ミサト、最後の出撃

  • シンジが行った後、運命でもなんでもなく「仕事に戻りましょう」って言うの最高だよな。これシンゴジのセルフオマージュでもある。
  • でも、ミサトは「仕事として人の奇跡を起こす」とも口にする。事務的じゃないんだ、「希望」ってJAに打ち込んだ彼女のままなんだよ(この辺、段々ろくろオタクになってきてた)
  • 槍を作るぜ。「リツコには十分でしょ」言ったわ!!!
  • 「これだから若い男は」あっ、ちゃんとマヤにも「拾って、克服」させた!!! 地味に感動大きかったなここ。
  • ヴンダーに脱出ポッドあるってちょっと笑った。そして決死ではあっても必死では無い、だったんだなぁ。
  • ここで一人になり、艦長というよりはヴィレの長としての責務から解放された時、髪を解いてあの姿に戻るミサトが最高だった。口調も戻ってるしさ!!
  • 「やっぱ最後は反動推進」。ATF推進とか謎SF駆動もいいけど、サー・アイザック・ニュートンに仕事をさせよう。第三法則。人類は何かを後ろに置いていく以外に前に進む方法を知らぬのだ。……ミサトさん、マジ俺らの世代だわ!!!! 分かってる!!!!!!
  • 最後に、あのミサトに母としての言葉を言わせて終わった。シンジのことでも、加持のことでもなく。この上のないミサトの終わりだよ、シンエヴァ。ありがとうございます。

ゲンドウ君解決編

  • 正直言うと、割とひねりなくユイユイラブラブチュッチュ以外動機ねえぞゲンドウを自己で説明語り尽くしたなぁ、と思うたこの辺。まぁ解決編だもの仕方ないよね。思ってた以上にアレな過去。
  • 特撮ギャグ。この辺は文脈オタク全開のノリだな。個人的にはカヲル座りしてたゲンドウに「お前の思うかっこいいってこれなんだな……w」って深い同情を覚えた。
  • 力では無くメンタル戦で今のシンジさんに挑むとか負けフラグにも程があるぞゲンドウ。赤い電車でならもはや負けは無いレベルのシンジさんに。
  • とは言え。メンタルエヴァの象徴でもあったあの電車を上手く使って、「肩を叩き、殺してあげる」を実現したなぁ。
  • 「そこにいたのか、ユイ」。……遅い、本当に遅い。地球と人類を巻き添えにして宇宙を何周りもして辿り着いたのが、息子の中に嫁が生きているという凡人極まりない、だが人類が唯一見出せる救いとは。
  • 「主よ、そこにおられるのですか」。個人的に、好きな言葉を思い出した。死者の存在を感じ、何かを受け取れるただ一つの方法。大人になったな、か。
  • さくさくと下車されるゲンドウ。本当にシンジさんの敵では無かった。
  • 繰り返しになるけど、正直和解も含めて「あっさり」感はあった。というかゲンドウ、本当に作中最弱の豆腐メンタルだった。ある意味で。

シンジさんのターン

  • アスカ。まぁ個人的には、やっぱり着ぐるみからケンスケが出て来るのはちょっと唐突感あった。いくら村で「そういう関係性」を匂わせてたとしてもね。でも、ただそれでも、「シキナミ」にも救いがあった。
  • あの砂浜じゃん。
  • 肉体≒自己投影もちゃんと成長してるアスカ。俺は考察勢じゃないからあんま深くは語れないけど、これ「どっちなのか」はあえて言及されないんだろうな。でも、そこに彼女がいてシンジと言葉を交わしたというだけで、旧劇のアスカも救われたのだと俺は思うよ。うん。
  • カヲル君回収するんだなー。加持君に美味しいとこ持ってかせるんだなー。シンジさんがどんどんと人を解放していく。ベタだけどいい流れ。
  • そして、レイか。「髪だけは伸びやがる」とアスカがぼやき、「そこに神も穢れも宿る、それは姫が人である証」と言ってのけたマリを、こうしてレイの側で、しかもビジュアルだけで拾ってくるの本当に上手すぎる。
  • レイは、人として「そこ」にいたのだという救い。
  • ネオンジェネシス!w ……まーでもちょっとギャグになりかねない旧タイトルを回収するというオタクの基本作法その一も、背後に旧作のシーンを投影しながらというメタの中で拾うと言うのは上手い。
  • ちょっと、流出したスターウォーズep9の「本来ありえた脚本」に出て来るR2D2記録全投影を思い出した。少し(SWが得られなかった何かをエヴァが得つつあることに気づいて)泣いた。マジで。
  • 打ち寄せる赤い波、「序」を最初に見た時に真っ先に思い出した旧劇のラスト。それが青くなるだけで伝わる、万感の思い
  • この辺、感情が入り乱れてて時系列がちょっとあやふや。すまんな。

終劇

  • 成長シンジ。マリとの関係性。実のところ、この辺にあんまり思い入れは無い。こだわる人はこの辺気になるのだろうけど。
  • (なんかあれだけで「二人がもう付き合ってる」みたいな感覚は全然無かったので、しばらくしてそういう感想を見て割とびっくりした。むしろ「なんやそのカップリング脳!」みたいな思いもあるが、この辺はエヴァ同人と縁が無かったが故の認識かもしれんので別に反論はしない)
  • この辺りではもう怒涛の解決編からの感情にゆったり身を委ねてた感がある。
  • 個人的に、二人が駆け出した先が「実写的でありながら、実写では無いリアルCG風」ってあたりにとても寓意性を感じたなー。
  • エンドロールでメインキャストの面々の名前が流れてきた時、唐突に「ああ本当にエヴァが終わる」って実感が湧いてきた。あの瞬間に何故か思い切り涙が溢れてきた。これが、感慨。

……というわけで。ほとんど整理もつけない感情感想優先の流し書きでした。

シン・エヴァンゲリオン、そしてエヴァ、これにてひやうし幕。本当に、見事でした。

おまけ

かなりマジの心の叫びです。

そして真面目な話、ディズニーのマンダロリアンの宣伝商材になってしまったSWに較べ、庵野氏が版権を自分のところに移し、最後まで手綱を握ったからこそ成し得たシリーズ完結だとは思うしね。まさに大人として、本当にエヴァという作品とそのファンに尽くしてくれたのだなぁ、と素直に思う。パンフで監督の前田氏も書いてたけど、俺たちはしっかりとまごころでもてなされたのだ。これを良き終わりと言わずして何と言おう。



おわり。

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