星崎レンスターズ [神慮の機械外郭]

サークル「神慮の機械」装丁人兼雑文係・10年来の同人二次小説屋の星崎連維が共和国の下僕として作品や同人話をしてます。なかみはようかん。

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【ネタバレ】シン・エヴァンゲリオン劇場版のシーン感想ダダ書き(後)

シンエヴァ、ふせったー代わりの箇条書き感想の癖にやたらと長くなってしまったので前後編に分割しました。ちなみに二度見三度見の後にちまちま追記してたりしますが個人用なので場所は明記していません。

こっちはヤマト作戦発動以後から。同じくネタバレ全開なのでよろしくゥー。

rennstars.blackcats.jp


繰り返すけど単なる箇条書き羅列なので脈絡とかはないです。

能書き(中書き)

そういえば「どういう奴が書いてるのか」について補足。先日書いた後に人と会話してふと気づいたんですが、自分は確かに年齢としてはエヴァTVシリーズ直撃世代だけどリアタイ勢ではなく、直後ではあるけど後追いタイプなのです。旧劇で追いついて履修して人並みに呆然とした顔で劇場から出ては来ましたがw

ただ、そうやって「直後」から一呼吸置いたおかげか、いわゆるエヴァの謎的な衒学論争からは一歩引いたスタンスで来たし、同人やSSにもハマらなかった。なので、正直言えば「エヴァにそこまで過剰な思い入れは無い」人間が書いているのは確かです。新劇としての純粋な作品力が気に入ってる部分も大きいですしね。Q含めて(←これを言わざるを得ない辺りがエヴァなんすが)

ただ一方で同時に、年代的に自分のオタク人生は常に視界の端にエヴァが存在していた四半世紀だったわけで、世代として意識しない方が難しい存在であり、完結編と聞いて心乱されなかったわけでもない。旧劇の人間模様(特にアスカなど)には深い思い入れもある。それぐらいの距離感であったという点はお含みおき頂ければ。

ヤマト作戦発動後

  • ヴンダー同型艦!!! 同航砲戦!!!!! この辺りはオタクのツボを分かり抜いてる作りだなぁw
  • 冬月が本当に輝いてる。というか「老人が一人で後ろ手組んでゆるりと直立不動」で無双するってどんだけ全力でオタクツボを突きぬいてくるのかw
  • しかも後に「本来無人機でL結界密度バカ高」ってことが判明する。気合だけで宝具の域に達した爺さんかお前は!
  • 「主機はこっちが上」速力勝負! ワシらの初号機がエエ音鳴らしとる……!(ATF生成音) このATF投射推進全開のシーンを見た後で、最後の出撃時のミサトの台詞(後述)を聞くとなお良いのだよなー。
  • 衝角突撃(ラムアタック)は艦船のロマン。いいぞもっとやれ。しかもATフィールドあると合理的という。

最終降下

  • 戦艦誘導弾、音楽の雰囲気といいSEといい完全に在来線爆弾だよなぁw こういうセルフオマージュと旧劇回収/オマージュが折り重なってて、Q以上に庵野集大成感ある。
  • 2号機8号機最終降下。色々大暴れだけど、最後にはやっぱり「ATフィールドを突破力に使う」が「これがエヴァという兵器にしか成し得ない最大の特徴」って感じでテクニカルに好き。
  • しかも! 「手を合わせて」! 瞬間、心、重ねて。だが今重ねられているのは手のひら。反発干渉すること無くただ前にだけ展開されたATF……!
  • エヴァ観てて「女女クソデカ感情」みたいなナウなヤング語を頭に浮かべるとは思わなかった。
  • 最後にさりげなく8号機が「減速ゥ!」してるの、Qの2号機オマージュというか同一テクノロジー描写でもあってこれも好き。
  • 13号機と停止信号プラグ。「所詮は人の作った汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン」ああもう、ここでその基本のキを持ち出して、文字通り十字に掛けられた者にロンギヌス(原典の)をブッ刺すというこの構造自体がいい。
  • 「2号機が13号機を怖れてる」心の壁ATF! 何気に新劇シリーズではこの設定まるで触れられて来なかったことに改めて気づく。これまた「拾った……!」という感慨で一杯だし、それを「心の壁なんだから自分の側に発生させてしまうこともあり得る」って踏み込んで来てるの最高じゃないすか……!
  • こういうとここそ旧シリーズ知らんと新劇つうかシンの面白さを理解しきれんところなわけで。
  • アスカ、使徒侵食拾った!! そしてシキナミシリーズ!!!
  • いやなんとなく察してはいたけど、新劇においては「両親なんていない、私は独り」が文字通りの真実だったって形のひっくり返しはホント上手いなぁ。
  • 惣流。「そこにいるのか」。
  • ヴンダー同型艦ズからのMark9-12。……なんか動きがキモいというか、もっと言うと「ナヨい」の意図的だよなぁw(特に最終盤で8号機にやられるところは「エヴァのコスプレしたキモオタのモーションキャプチャかな???ってレベル)

ゲンドウ君登場

  • 最深部のLCLカラーな環境光。「浮島」っぽく見えるヴンダー甲板。背後に赤いエヴァ。旧作のゲンドウシーンの再現だなぁ。
  • で、即撃ちするリツコ。……ここも感慨がスゴかった。旧作で私怨に対するに自己を仮託したマクロ的な破壊(自爆)を臨み「母さん」のシステムに頼り、挙句に「裏切られた」といって撃たれて死んだリツコが、あの冒頭パリで見せた「覚悟」で秒でゲンドウを撃つ。震えたわ。
  • ネブカドネザル・ゲンドウ。正直この辺はあまり驚きは無く。ミサトを「父の落とし前」の構図にちょっと強引にハメよったなとは思ったけど、まー必要よね。
  • 3回目視聴時追記:ミサトとリツコがゲンドウに補完計画の能書きを聞かされた後、二人とも腕のバンダナに触れながら「神に屈した補完計画よりも、人間と人間の意志を信じます」的なことを言うんですね。
  • この口調がとても祝詞っぽく、また「信じます」など不自然なまでに丁寧語なことで気づいたんですよ。これヴィレ/クレーディトの使徒信条(クレド)なんだろうな、と。キリスト教で信仰の根幹を宣言するみたいなもの。
  • これ、エヴァ衒学的なキリスト教要素という意味では無くて。決して強い人ばかりで構成されているわけがないヴィレ、いやミサトやリツコだって「強くあらねばならぬ」だけの人間に過ぎず、そんな彼らが14年もの間(地獄の生活ですよ実際)一つにまとまり目的を見失わぬための言葉として制定された「信条(クレド)」なのかもな、と思うた次第。
  • ひょっとしてクレーディトの名前はクレドから来てるのかもね。
  • 参考:使徒信条 - Wikipedia
  • 初号機、割と原型留めて主機化されてた……ってわけでもないんだよな、なんか形状復帰するし。つうか初号機を始めとするエヴァが自己を再生成する時、本来人間がつけた装甲板(拘束具)って扱いだったはずの外装のまま復元されるの、いやまぁ作劇の都合と言えばそれまでだけど、「自己認識」に依る姿を取ってるって感じで好きなんだよなぁ。映画マトリックスで自分自身のアバターを精神が勝手に再生成するってのとちょっと似てる。

甲板トークからヴィレサイド:ピンク髪、サクラ、そしてミサト

  • シンジさん。やっぱり覚悟決まった「まま」だよな。いい。乗れ、乗るな、乗るな、乗れと来て、これ。
  • キレるピンク髪。Q時点のシンジに対する態度を俺は十分に「納得」してたけど、できなかったユーザーへの説明アバターでもある……と最初にも書いてたけど、ここでサクラへの呼び水になるとはなぁ。
  • 鈴原サクラさん。「怪我すればちょっと痛いけどエヴァには乗れんようになりますよねその方がマシですよね」なんで間桐桜になってるの!w サクラ繋がり!(型月じいさんの感慨)
  • いやー、誰もが半ば忘れかけてた「シンジはサクラの命の恩人であり、トウジとの関係性を作った張本人」ってのをここでこうも受けて来るとは。これまた「拾った……!」って思った。
  • ピンク髪「明日を生きることだけを考えていこう」や、強いよお前。この汚れた生命を拒む最深部、ヒトが生きていけるとは思えないような世界という「明日」を前に、そこを生きることを考えられるのか、お前は。世代の強さでもあるか。
  • ミサトさん。やっぱ同じところ撃たれてんだっけこれ。
  • 「彼は未だ自分の保護下にあり」……シンジがネルフに来た日から、ずっと。「全ての責任は私にある」……ずっと、ずっとこの人は変わっていなかった。
  • シンエヴァで一番好きなシーンは多分ここです。
  • 大人が、大人の責任を取る作品になってた。
  • ちょっと「破で行きなさいとか言ったくせにQのあの態度w」とか薄っぺらく揶揄してた一部のオタクにざまあって思った(黒い告白です)
  • 裏で8号機が戦ってる同型機主機?シリーズ、いやホントコスプレキモオタみたいな動きをやめろw NO MORE映画泥棒君かと思ったわw
  • マリと冬月。なんだろうな、冬月は漫画版のような世界線あるいは感情だけをどこかで経験した彼の贖罪なのか。最後にはユイ君が何とかするやろ、ぐらいな信頼があるようにも見える。
  • マリのシンジ推しはなんなんだろな。アスカを経由した思い入れなのか、ユイの忘れ形見というだけなのか。この辺は最後までよく分かってない。

ミサト、最後の出撃

  • シンジが行った後、運命でもなんでもなく「仕事に戻りましょう」って言うの最高だよな。これシンゴジのセルフオマージュでもある。
  • でも、ミサトは「仕事として人の奇跡を起こす」とも口にする。事務的じゃないんだ、「希望」ってJAに打ち込んだ彼女のままなんだよ(この辺、段々ろくろオタクになってきてた)
  • 槍を作るぜ。「リツコには十分でしょ」言ったわ!!!
  • 「これだから若い男は」あっ、ちゃんとマヤにも「拾って、克服」させた!!! 地味に感動大きかったなここ。
  • ヴンダーに脱出ポッドあるってちょっと笑った。そして決死ではあっても必死では無い、だったんだなぁ。
  • ここで一人になり、艦長というよりはヴィレの長としての責務から解放された時、髪を解いてあの姿に戻るミサトが最高だった。口調も戻ってるしさ!!
  • 「やっぱ最後は反動推進」。ATF推進とか謎SF駆動もいいけど、サー・アイザック・ニュートンに仕事をさせよう。第三法則。人類は何かを後ろに置いていく以外に前に進む方法を知らぬのだ。……ミサトさん、マジ俺らの世代だわ!!!! 分かってる!!!!!!
  • 最後に、あのミサトに母としての言葉を言わせて終わった。シンジのことでも、加持のことでもなく。この上のないミサトの終わりだよ、シンエヴァ。ありがとうございます。

ゲンドウ君解決編

  • 正直言うと、割とひねりなくユイユイラブラブチュッチュ以外動機ねえぞゲンドウを自己で説明語り尽くしたなぁ、と思うたこの辺。まぁ解決編だもの仕方ないよね。思ってた以上にアレな過去。
  • 特撮ギャグ。この辺は文脈オタク全開のノリだな。個人的にはカヲル座りしてたゲンドウに「お前の思うかっこいいってこれなんだな……w」って深い同情を覚えた。
  • 力では無くメンタル戦で今のシンジさんに挑むとか負けフラグにも程があるぞゲンドウ。赤い電車でならもはや負けは無いレベルのシンジさんに。
  • とは言え。メンタルエヴァの象徴でもあったあの電車を上手く使って、「肩を叩き、殺してあげる」を実現したなぁ。
  • 「そこにいたのか、ユイ」。……遅い、本当に遅い。地球と人類を巻き添えにして宇宙を何周りもして辿り着いたのが、息子の中に嫁が生きているという凡人極まりない、だが人類が唯一見出せる救いとは。
  • 「主よ、そこにおられるのですか」。個人的に、好きな言葉を思い出した。死者の存在を感じ、何かを受け取れるただ一つの方法。大人になったな、か。
  • さくさくと下車されるゲンドウ。本当にシンジさんの敵では無かった。
  • 繰り返しになるけど、正直和解も含めて「あっさり」感はあった。というかゲンドウ、本当に作中最弱の豆腐メンタルだった。ある意味で。

シンジさんのターン

  • アスカ。まぁ個人的には、やっぱり着ぐるみからケンスケが出て来るのはちょっと唐突感あった。いくら村で「そういう関係性」を匂わせてたとしてもね。でも、ただそれでも、「シキナミ」にも救いがあった。
  • あの砂浜じゃん。
  • 肉体≒自己投影もちゃんと成長してるアスカ。俺は考察勢じゃないからあんま深くは語れないけど、これ「どっちなのか」はあえて言及されないんだろうな。でも、そこに彼女がいてシンジと言葉を交わしたというだけで、旧劇のアスカも救われたのだと俺は思うよ。うん。
  • カヲル君回収するんだなー。加持君に美味しいとこ持ってかせるんだなー。シンジさんがどんどんと人を解放していく。ベタだけどいい流れ。
  • そして、レイか。「髪だけは伸びやがる」とアスカがぼやき、「そこに神も穢れも宿る、それは姫が人である証」と言ってのけたマリを、こうしてレイの側で、しかもビジュアルだけで拾ってくるの本当に上手すぎる。
  • レイは、人として「そこ」にいたのだという救い。
  • ネオンジェネシス!w ……まーでもちょっとギャグになりかねない旧タイトルを回収するというオタクの基本作法その一も、背後に旧作のシーンを投影しながらというメタの中で拾うと言うのは上手い。
  • ちょっと、流出したスターウォーズep9の「本来ありえた脚本」に出て来るR2D2記録全投影を思い出した。少し(SWが得られなかった何かをエヴァが得つつあることに気づいて)泣いた。マジで。
  • 打ち寄せる赤い波、「序」を最初に見た時に真っ先に思い出した旧劇のラスト。それが青くなるだけで伝わる、万感の思い
  • この辺、感情が入り乱れてて時系列がちょっとあやふや。すまんな。

終劇

  • 成長シンジ。マリとの関係性。実のところ、この辺にあんまり思い入れは無い。こだわる人はこの辺気になるのだろうけど。
  • (なんかあれだけで「二人がもう付き合ってる」みたいな感覚は全然無かったので、しばらくしてそういう感想を見て割とびっくりした。むしろ「なんやそのカップリング脳!」みたいな思いもあるが、この辺はエヴァ同人と縁が無かったが故の認識かもしれんので別に反論はしない)
  • この辺りではもう怒涛の解決編からの感情にゆったり身を委ねてた感がある。
  • 個人的に、二人が駆け出した先が「実写的でありながら、実写では無いリアルCG風」ってあたりにとても寓意性を感じたなー。
  • エンドロールでメインキャストの面々の名前が流れてきた時、唐突に「ああ本当にエヴァが終わる」って実感が湧いてきた。あの瞬間に何故か思い切り涙が溢れてきた。これが、感慨。

……というわけで。ほとんど整理もつけない感情感想優先の流し書きでした。

シン・エヴァンゲリオン、そしてエヴァ、これにてひやうし幕。本当に、見事でした。

おまけ

かなりマジの心の叫びです。

そして真面目な話、ディズニーのマンダロリアンの宣伝商材になってしまったSWに較べ、庵野氏が版権を自分のところに移し、最後まで手綱を握ったからこそ成し得たシリーズ完結だとは思うしね。まさに大人として、本当にエヴァという作品とそのファンに尽くしてくれたのだなぁ、と素直に思う。パンフで監督の前田氏も書いてたけど、俺たちはしっかりとまごころでもてなされたのだ。これを良き終わりと言わずして何と言おう。



おわり。

【ネタバレ】シン・エヴァンゲリオン劇場版のシーン感想ダダ書き(前)

2021年3月8日、午前7時。シン・エヴァンゲリオン劇場版を観てきました。

註:ネット公開済みの「冒頭12分10秒10コマ」に言及する辺りから半ネタバレ、そっから下は同じノリで完全ネタバレが始まるので後はセルフサービスでよろぴくゥー。

(長くなったので前後分割)

TOHOシネマ日比谷

能書き

およそ25年、四半世紀前からの付き合いであったエヴァの完結編。「あのエヴァ」である以上は御多分に洩れず、期待と怖れとをないまぜにして向かった自分ですが、結果は直後に呟いたこの通り。想像以上に「良い」終わりでした。

エヴァの終わりとして、新劇シリーズはもちろん、TVシリーズ、旧劇の構成要素も一つ一つ丁寧に丁寧に拾って、生かして、それでいてしっかりと前へと進んで終わったのは見事という他ありません。

何より、単独の作品としても極めて出来が良かったし、庵野氏が折に触れて言及する「アニメーションという表現の可能性」をこれでもかというぐらい叩きつけてきた作品でもありました。端的に言うとオタクのツボを突くのがやっぱうめーな庵野サンよ!というヤツです。これはもうシーンの端から印象レベルのコメントでも残しておきたくなる。

しかし他方、「良かったというだけでネタバレになる」と半ば冗談、半ばド真顔で言われてしまうのもエヴァの呪縛、それに値するだけのことをやってきた(やらかしてきた)エヴァの歴史という積み上げでもあるわけです。本来ならtwitterに端書レベルの各シーンのフレッシュな感想でもダダ流したいところ、この夜上映がほぼ皆無なご時世下で週末まで見られない方も多いでしょうし憚られるところ。

多分、過去最高アクセスを記録したというふせったー辺りを使うのが王道なのでしょうが、そういえば他にも「テキストを残す」というメディアを保有してたな、と2億年ぶりぐらいにブログの存在を思い出したので(この辺りがSNS時代の哀しさよ)、ここに整理もせずダラダラと箇条書きで書き殴っておこうと思います。

この長々とした前書きを書かざるを得ないのがブログ敬遠する理由だよ!

冒頭12分10秒10コマ

  • 「16年ぶりのパリ」こういう台詞が如何にも似合うのがリツコという女なのマジ分かってる。それも髪をバッサリ落とした14年後エディションで。
  • 相変わらず真綾さんは外国語上手い無いネ(それが味)
  • キモエヴァ兵器44Bと4444C:いやーーもうこの発想大好き。事前公開の時から思ってましたが、Qのヴンダー周りに続いて「ゼーレや補完計画の縛りが無くなった人類というか大人がE計画由来技術を全力で軍事転用している様」がめっちゃリアルで好きなんですよ。
  • 特にATフィールドをガンガン応用してるのが最高。前回のATフィールド投射推進ですらスゲエと思ったのに、今回の44Bに到っては「2体のエヴァで発生させて干渉させると位相差で発電できる」マジで!w プルプルしてるのは発電機からの影響かと思ったら逆でプルプル発電なのか!

  • 陽電子砲の発射シーン、エヴァ序の醜悪なパロディってのが実にいい。ヤシマ作戦で日本中の電力とシンジやミサトたちの決死の覚悟でぶっ放した代物を、(威力は多分劣るとは思うけど)キモエヴァぷるぷるさせるとガンガン撃てちゃうんだよね、という厭らしさ。それを開幕シーンに持ってくるのも上手いよなぁ。
  • 単にヤシマ作戦の醜悪なパロディってのみならず、「エヴァに乗り、使徒と戦う」こと自体が「君にしかできないこと」じゃなかった、コアあればいいんじゃんってのを見せまくるのが露骨に出るシーンでもあったわなー。実際新劇では「理由はないわ」だし「君にしかできないのは葛城を守ること」と完全に入れ替わってるのをここで再認識させられる。いいね。
  • シールド付き戦艦をあの形に並べるの、ロー・アイアスじゃん!って思った型月ファンは少なくないはず。(テレビ版UBWの出来は素晴らしかったが、唯一アイアスの解釈が単なるドーム状バリア重ねだったのは不満だった。あれは「花弁」の重なったところだけが多重防御でしょう。まさにこれ!)
  • シールド戦艦が迫ってくる時の完全に覚悟のキマってるリツコの顔。あれ破で嫁と息子の血を顔面に浴びても微動だにしなかったゲンドウと思いっきり重なるんすよね。ある意味で、こっちの世界線のリツコがゲンドウに比肩する覚悟の人間になってることが端的に示されて最高によかった。
  • 後にニコイチ2号機周りで「JAリアクター」って言葉がバックグラウンドから飛び込んできて「ジェットアローン応用技術!?」って色めき立ったけど、改めてこのシーン見ると格納庫パーツ名にもJAって入ってる。いい匂わせ。

オープニングとぼとぼ

  • 全体的に全シリーズで出てきたシーンのリフレインなのがホントいい。それがこの有り様。Qのネルフ跡地表現にグッと来たのと類似の方向性。

第三村全景:村と外と、トウジとケンスケと

  • 最初は「はいはいベタな展開来たね、大人になってて子供もいるヤツね」と思ったトウジの登場。
  • でも第三村の辺りは全てにおいて「ベタでありがちな印象を後からキチッと覆す」作りだったのがいい。トウジやケンスケのような人間模様も、第三村の成立している背景も。
  • 初回でふと気付いて当日2回目に注視してたけど、この診療所が出てくるシーンって終盤にトウジとケンスケが語るまでクレーディト提供の治療ブースが巧妙に隠されてるアングルばかり。意図的よね。
  • 牧歌的で理想的な第三村の風景⇔ネルフやヴィレの異常な環境。大人になり子供を持ち「真っ当な」人生を歩んできているように見えるトウジ⇔エヴァに乗り、否定される以外の人生を持たされなかったシンジ、というコントラストが前半描かれるけど……
  • 後半、「お天道様に顔向けできないこともしてきた」トウジ、クレーディド無しでは、ヴィレの結界対策が無ければ成立しえない村。「異常」の側で戦う組織や、アスカが言う「守る人」の側無しには生存もできない現実をキッチリと描いて、「真っ当な世界」や「大人」って何?という話にしてるのがやっぱ印象的。
  • 「大人になれ」「外に出ろ」では済まない世界、ああ本当に完結するんだエヴァ、ってこの辺りで思った記憶。
  • 空中に結界固定されたオブジェクトの中で送られる普通の暮らし、みたいな画がマジで強い。
  • 「ここで皆の一員になって暮らすのが一番」と心からの思いやりで語り同意を求めるトウジと、肯定も否定も返さず、ただ「シンジはそういうん『だけ』じゃないんだよ、きっと」という表情だけを向けるケンスケ。
  • 公開日の感想で「また大人になって結婚して子供持てよかよ庵野」ってのを見かけたけど、いやいやいやこのワンシーンだけでも「そんな単純には選べないのが人生」って話を思いっきりしてるじゃんねぇ。
  • シンエヴァは初めて「思い切り常識人で、常識の側で生きてる人物」がゾロゾロ出てきたおかげで、シリーズ中で一番「ちょっとした表情による人間ドラマ」が描かれてる気がする。今までキチガイや裏と匂わせしかないヤツばっかだったからよ!

第三村全景:アヤナミ、アスカ

  • 田植え綾波。いやなんで「これが、カワイイ」って認識できるのかというツッコミが野暮なほど楽しい。くっそくっそこんなことで。
  • まがい物であるとQで突きつけられたアヤナミ個体の扱いどうすんのかなと思ってたし(本人でない者に救いを与えてもシンジは救われない)、タイムリミットが匂わされた時もシンジを戻す動機にでもすんのかと思ってたら。
  • シンジにはシンジで足場を取り戻させ、その上で「まがい物」にこうまで外の世界を知らしめた上で消し飛ばすとはな……この辺はもう作劇として上手い。アヤナミが得たものは全部、シンジが気づいていくべきものだった。拾ったら返す。最後の最後にDATとゲンドウのとこでこれも「拾った」よなぁ。
  • 破裂して立ち昇る十字光と虹。LCLと自我境界≒ATフィールドによって成り立つ生命(の亜種)、ってのは旧劇からの人間はするっと受け取っちゃうけど、新劇でこうもストレートに描かれたことなかったよね実は。Qですら。
  • こういう仕込みの辺りで「あ、旧作も拾ってくんだ」と気づいたなー。
  • ほぼ唯一Qの理不尽ノリを維持してて、常識人の中ゆえに尚更「ガキ」に見えてしまうアスカ。……を、これまた念入りに拾ったなぁ。ケンケンとの絡みの少なさ、説明されなさは相変わらず不憫の子やなとも思ったけど、この辺の描写は終盤生きてくるねぇ。

ヴンダー再搭乗

  • 爆破隔離部屋。Qで「なんでシンジに碌に説明もせずあの扱い?」ってよく話題になったけど、個人的には「今この瞬間にニアサーの続きおっぱじめる可能性もある個体に親切丁寧に情報入れるアホおる???(あの時点でそれが無いと確信できてるのは多分パパだけ)」と思ってたので残当だったし、今回アスカもマリも同程度の扱いだと分かり尚更納得。
  • 急にピックアップされてくるピンク髪のキレっぷり。あれはQで「その辺読み取れない人が多かった」が故の説明キャラだなという認識。ミソギ。寓意が深い。
  • 播種船。まー正直この加持サン周りは後付け臭があったw 子作りはまだしもねー。SF的には「なるほど長期にわたってATフィールドも展開して宇宙放射線から守る仕組みね」みたいな納得はあったけど。
  • メロンに思い入れつけるのも、どっちかっつーと旧作よな。でも、すごくいい。
  • アスカとシンジ。片方だけが「大人」になってしまった表現がよーーーーーやく出て来る。嗚呼。「あの時は好きだった」、こんなにベタで、いい台詞が、まさかエヴァで聞けるとはな……
  • というか、アスカとシンジの結末がこの歳の差ネタで締まるとはあの頃は思わなかったし、個人的には、すごく好き。「あの時は好きだった(でも母親にはなれない)」。ああ、嗚呼……!
  • 破のあのアスカ3号機でのシンジに対する「言うてお前以外誰が救えたんだ?」をここでちゃんと拾うんだな、自分で拾えるだけのものをシンジが得てたんだなという感慨。これ第三村で得たものというより、破のラストで得ていたものを取り戻したという感覚だろうなぁ。
  • これまた本当に、エヴァが終わるんだという感慨に繋がってくる。
  • リツコの役回り、ミサトの代弁者。この腐れ縁描写、旧劇までは上っ面な感覚があったものが一気に深まってるの、この世界線ならではの物語でいい。
  • 出航まで30分→25分。副長マージン!w こういう管理職的な表現も地味に好きなのです!
  • 「シンジさん」、Qでメンタルやったけど、破ラストでの成長は決して無になったわけでは無く、覚悟はキマっていた「まま」だったのだな、と表情だけで分かるの良すぎですね。


長くなったので後半に続く!

コロナ禍以来10か月ぶりに同人誌即売会にサークル参加してきた

先日11月23日、コロナ禍勃発以来実に10か月ぶりに同人誌即売会にサークル側として参加してきた。

f:id:rennstars:20201129211838j:plain:w240:right2020年はGWどころか冬のコミケも無くなり、年前半は中小即売会の類もほぼ全滅。印刷所を始めとする同人誌文化を支えるインフラの経済的危機が喧伝され、長く同人に浸かってきた自分も危機感と焦燥感を覚えているものの、オンラインイベントの試みなどには出す側としても買う側としても正直乗り切れず、参加を決めた夏頃のイベントも感染第2波の襲来で辞退したりと、同人人生を送ってきた身としてはだいぶ心が折れていた。

そうして2020年も暮れようとしていたところで、文字通り一念発起して「歌姫庭園23」に新刊を作って本を出して来たのだけど、そこに到るまで、そして当日の状況や感情を備忘録的に残しておこうと思う。

というかこの記事自体、イベント後にちょちょいと書いてしまうつもりでいざ着手してみると……いやーー結構思い出せないモンですわ、たった数か月前の状況や感情が。twitterのログなどから自分の感情すら掘り起こしたけど、これは一本の記事に書いて残して正解だったなと逆に痛感した次第。

というわけで。ぶっちゃけ記録なので長いし、感情記録も兼ねてるのでエモ入ってますが良しなに。

同人的略歴:長年の二次創作小説書き

どういう立ち位置の人間が書いてるのか、ってのを参考までに。

買う側としては25年選手。本を書く側としては20年弱の二次創作小説書き。夏冬のコミケが基本だったけど、ここ数年は一応オンリーにも年2回ぐらいは出るようになってきたところ。ジャンルは今はアイマスのシャニマス、そして当方男子、都内在住。
女性向けと男性向けではコロナ下でのイベント側の対応も結構違ったりしているようだし、もちろん規模にも左右されるので、この辺は念頭に置いて読んでいただければ。都内在住=遠征の有無も昨今は従前以上の影響があるし。

もう一つのポイントとして、前回の冬コミを最後にジャンル移動を考えていた矢先だったという点が挙げられる。つまりジャンルはシャニマスと言っても11月以前には本は一冊も出していない。これは同人やってる人なら分かるけど、既刊持ち込みでお茶を濁すことができないって部分で参加判断に大きく利いてくることになる。

個人的背景:3月から完全在宅体制

3月頭から在宅リモートワーク開始。かなり早い方だったと思う。以来、1日たりとも出社せず本日にいたる。恐らくは、来年も続くであろう。どうしても出社せざるを得ない人間に「出社率」を譲れという強いお達しだ。

ここも結構ポイントで、元々週1-2日は在宅してた方ではあるけど、週5でしかも実に9か月完全在宅、解除される見込みも当分無いとなると、流石に精神的には結構参ってる自覚がある。仕事のみならずプライベートでも人と会う機会は各段に減り、半ば蟄居状態が続いてる。このしんどさも諸々の判断に利いてると思う。

2020年3月~8月:別イベント申込と延期

3月末、コロナ禍がこれほど長引くという感覚も正直薄いまま、7月(7/5)の別イベントSSF03に申し込む。

6月、東京の新規陽性者数(7日間移動平均)は30人を超え微増傾向SSF03もこの傾向を受けたか、8月末(8/29)への延期を発表。この頃には「この事態は当面収束しない」という意識が自分の中で強くなっている一方で、世間も引き締めと緩みを繰り返していた頃だったと思う。

7月、冬コミ中止発表。2020年、終わったなというお気持ちだった。

2020年8月:SSF03参加辞退を決める

8月初旬、東京の新規陽性者数(7日間移動平均)は300人を超えており、いわゆる第2波ピークを迎える

8月12日、開催まで3週間を切ったところで個人的にSSF03参加辞退を決定、告知。イベント側の参加キャンセル期日を過ぎた単なる欠席で、最後まで判断に迷った挙句ということになる。

なお7月頃から様々な小規模即売会が試行錯誤の下で開催自体はされるようになっており、知り合いサークルの中にも実際に参加された方もぽつぽつ出て来てはいた。
999cc.sakura.ne.jp
この記事や当時の自分のブコメでも触れているが、いざ自分が参加の是非を検討し始めると、主催側の「どういう対策を取るかを可能な限り早くサークル側に通知する」という点が新刊作成など準備や判断にリードタイムを要するサークル側には重要なのが身を以って理解できた。

……が、当のSSF03は対策に関する告知が3週間を切っても一切無く、これが参加辞退の決め手になった。特にこの頃から始まった「一般参加者全員の住所氏名を取る」方針に関してのアナウンスがまったく無い点が不安を誘ったのをよく覚えている。とは言え自分が辞退を決めた3日後、8/15に一般参加者の記名カード提出などの対策は発表されたのだが、折れた気力は戻らなかったし、やはり不安の方が勝っていた。

ただし、この件に関しては主催を責めているわけではない。即売会の規模や主催の運営体力で取れる対策も変わって来るし、先の記事にもあったように「具体的な方策」自体会場との折衝や流行状況の変化もあって直前まで決まらない部分もあるだろうから、やむを得なかったものと理解している。大体こんな状況でイベントを「個人が」主催するだけでも超々ハイリスクであり、開催してくださるだけで御の字だろう。

なおSSF03自体はそのまま8/29に開催された。その時の模様は実際にサークル側で参加された方の以下の記事に詳しい。とにかく「サークル側がいない」という印象だったらしい。上記を考えるとさもありなん、と言ったところか。
note.com

余談:同人作家側の時間事情

ちょっとここで同人作家側のイベントに対する感覚的なものをメモっておく。

イベントに参加するなら新刊を用意して行きたいところ。というわけで当然ながら原稿作成の時間が要る。この辺は自分のような小説書きでも漫画描きの方でも何気に時間感覚は近いものがあるようで、ふわっと持ってる構想やプロット状態からイベント締切を駆動力にしてカタチにするのに最低ひと月ぐらいは掛けている。(いや筆も早く締切無関係に量産される剛の者もおられるし、長編スタイルの方もおられるけどあくまで感覚として!)

つまり本来なら、コロナ禍下でもイベント開催まで1ヶ月の時点で参加の是非を判断しなきゃいけない。しかしご存知の通り、コロナ禍下での一か月先は誰にとっても闇。これが地味に制作意欲に水を掛けることが自分でやってみてよく分かった。「書いても、出せないかもしれない」というのはツラいのだ。

イベントが無くても書店委託やオンライン通販があるじゃんと思うかもしれない。ただ、同人誌というのはやっぱりオフラインイベントで頒布してナンボなのですよ。それは直接本を手渡すという動機の面でもそうだし、またぶっちゃけ売上という面でも、書店委託からの通販というのはそこまで強くない。知名度の高い大手はともかく、大多数のサークルはやはり即売会での初動が一番強いし、また物理イベントという「同時性」があるからこそ、買う側もその機会に書店(物理&オンライン)に足を運ぶという面もある。

余談ながら委託書店もこの辺分かって来ていて、本来なら「いつでも」がウリの通販にわざわざイベント名を冠して「同時性」を付与しようと試行錯誤してるのが2020年後半と言ったところ。なかなか思い通りに成功しているとは正直言い難く、あと一歩何か工夫が必要そうではあるけれど。

裏を返せば、イベントが無くなってしまうと、書店委託を掛けても本が人の手に渡りにくくなる。そして二次創作同人とはやはり「自分の中で盛り上がった旬の感情を人と共有したい」という動機も強いので、「イベントが無くなっても後日どこかで出せばいいじゃん」はあくまでその「後日」が見えている時に限られる。……そして、今年はその「後日」が全然見えないのだ。ツラい。

何より、その「後日」の最たるものがまさにコミケである。「コミケ初出」という言葉があるくらい、コミケ手前のイベントで本を出し、そして来場者数ブーストで数も出るコミケにも持ち込むというのは同人の黄金パターンなのだが、今年は、それができないのだ。ツラいツラい。

だからもう、この「一か月先が闇」の中で本を作ってる同人作家ってのは、それでも本を出してやるという、去年まで以上の気力をかき立ててようやくというのが現実じゃないかと思う。いやもちろんこれはあくまで自分の観測範囲の中ではあるけれど、実際書いてみた印象からするとあながち外してもいないのではないかな、と思っている。

2020年10月:歌姫庭園23に申し込む

10月頭。東京の新規感染者数は夏のピークこそ越えたものの、200人手前をずーっと横ばいで減る気配がなくひと月が過ぎていた。

10月8日、ここで11月の歌姫庭園23への申込を決める。とは言え、11月に感染者数がある程度でも沈静化するとはまったく思っていなかったし、むしろ冬に向けて当然悪化するよなーという認識すらあった。

でも、もしここでイベントに参加しなければ、もう二度とイベントに出る機会はないかもしれない。機会以上に、気力が持たないかもしれない。何を大げさなと思われるかもしれないけど、8か月に及ぶ仕事上の蟄居生活と、本来その仕事という「公」に対する「私」の支えであった同人の先行きの見えなさで本気でそう考えていたし、今もその思いは変わっていない。

とは言え正直、この時本当にイベントが開催されても参加するかは決めかねていたし、本を出せるかも微妙な心理状況ではあった。しかし、しかしである。「申し込んで辞退することはできても、申し込まずにサークル参加することはできない」。この極めて単純な理屈で、とりあえず申込だけはして「一か月先は闇」に耐えようと思ったのだ。

2020年11月:歌姫庭園23への新刊アリ参加を決める

11月頭。イベントまで3週間。東京の新規感染者数は相変わらず200人手前を横ばいで3か月が過ぎていた。

先に触れたとおり、新刊を出すなら原稿を全力投球していくタイムリミットがこの辺りである。だが、やっぱり正直気力は奮っていなかった。コロナ禍については不吉な情報ばかりで、実際この後東京の新規感染者数は500人までぐいぐい伸びていく。そんな中で、原作(シャニマス)への愛情と創作意欲が上手く接続されていない感覚がずっと続いていた。

しかし結局、自分は本を出すことに決めた。

決断のきっかけは単純なものだった。一つは、いつも表紙絵を寄稿くださっている絵師さんのシャニマス絵のラフを見せてもらったこと。別件で会話している中での偶然だったけど、これで笑っちゃうぐらい創作意欲が湧いてきた。この方のイラストで小説を書きたい。そう、結局創作に火を点けるのって別の人の創作なのだという、寓話的なまでの出来事だった。

もう一つは、少し前にまさに同人誌を数少ないオンライン(それもBOOTHで自家)通販で買った時のこと。そこには「スケブ風」と銘打った手描きイラストカードが入ってたのですよ。それは印刷では無く、ラメインクやポスカを使った、スケブ全盛期を過ごしてきた人間にはちょっと懐かしい感じすらする綺麗なアナログ手描きの一枚。この一枚が、ああ「同人」って「手で作ったものを人に渡す」喜びだったってことを思い出させてくれたのだ。いやこれももう、寓話的だけどマジで。

同人誌を出し始めて18年。このまま行けば、2020年は1冊も新刊を出さなかった初めての年になるという事実が、ここで強く意識されたのを覚えている。これまたベタだけどコロナ禍への敗北宣言だよなという忸怩たる思いもあったし、それ以上に「ふざけんじゃねえぞ畜生」という怒りを持つだけの気力がやっと湧いてきた感覚があった。

OK、じゃあ本出してやろうじゃないの。

幸いにして、その絵師さん(つうか本ブログの看板娘も描いてくださってるもでさんね)も短納期ながら表紙の依頼を請けてくださり、かくして昨年冬コミ原稿時以来ほぼ1年ぶりの原稿執筆モードに入ったのであった。

2020年11月後半:イベント前夜とコロナ禍第3波襲来

先にも書いたが、原稿再開を決めた直後から東京の新規感染者数がモリモリ増えていきやがる。300人の大台に乗ったのもつかの間、イベント2日前には一気に500人突破である。勘弁して欲しい。

この辺り、会場の感染対策や後日の参加者トレーサビリティ担保、そして実際人数も抑え対策も取った小規模即売会からクラスタなどは出ていない事実は心理的にだいぶ効いていた。むしろ都の方針や会場側の都合で急遽中止せざるを得ないのではという方が怖かったかな。メタに自分を見れば認知バイアスかなという気がしなくもないが、率直なところはそんな感じ。

f:id:rennstars:20201122234501p:plain:w180:left11か月のブランクで衰えた筆力に悲鳴を上げながら、原稿はかろうじて致命傷もとい無事脱稿。当日を待つこととなった。

なおこちらがその新刊。宣伝です。シャニマスご存知であればサンプルだけでも読んでおくれ。摩美々&アンティーカ本やぞ。ノクチル短編も入ってるでな。
https://www.pixiv.net/artworks/85782053

ちなみに入稿後はポスターなどの印刷に入るのが常であるが、Kinko'sやアクセアなどのオンデマ出力サービスも営業時間短縮などを実施しており去年までの感覚だと詰むので注意。それでも回してくれるだけ御の字である。


当日に向けたサークル的対策

f:id:rennstars:20201204033406p:plain:w180:rightコロナ禍勃発、そして中小規模イベント再開から数か月、流石に同人誌即売会での感染防止に対するノウハウは世に出回り始めていた。

とは言え、一方で所詮は素人の集まり、更にはコロナに対する様々な認識、立ち位置の人間の集まりである。これは当日でも思うところが多かったが(後述)、準備段階でも結局は「おのおので自分が納得できるレベル」を用意するしかない辺りは、この状況下での日常生活とあまり変わるところはないのである。

とりあえず当サークルとしては取った対策は以下の通り。

  • マスクは当然キッチリ使い捨て不織布を常時。フェイスガードは無駄なのでしない。
  • ゴム手袋は素人使用では意味があまり無いばかりか逆に不衛生を招くので不採用。アルコール耐性の無い方が容赦なく都度消毒するために付けてるってケースもあるようなので一概には否定しないけど。
  • 塩ビシールドの類も無し。相当な高さを用意しないと立っている一般参加者と座っているこちらの間を塞ぐのは難しく、実効性が低い割に構築が面倒だし倒れやすいし。
  • おやつに弁当禁止。地味にツラい。会期中の食事は可食部が外気に触れないジェルパックにした。
  • 自前の70度アルコールスプレー(木内酒造)を持参、設置。サークル内では応対ごとに手指消毒。……ニューポットのいい香り過ぎてちょっと困ったw
  • 金の受け渡しはカルトントレーで。価格設定も500円にして釣り銭自体を最小限に。
  • 見本誌は山として卓上に詰むけど、手に取るならその場でこちらのアルコールで手指消毒を依頼。上に透明プラ板を置いていきなり手に取られるのを防止。本手前に警告文も設置。
  • 会期中のみ全ページ完全公開のオンライン立ち読みを用意、会場でQRコード提供。twitterでも公開。

繰り返すけど、この辺はもう「自分が信じるレベルを為せ」としか言いようがない。イベント主催側も入場時の検温、手指消毒、マスク着用の義務化はしてくれるけど、サークルスペースでの責任はあくまで個々のものであってガイドライン等は無い。出せば根拠や責任も問われるから当然だろう。

2020年11月23日:イベント当日朝

f:id:rennstars:20201204034957j:plain:w140:right朝が来た。

使い慣れた設営用具をキャリーカートに積み込み、買ったはいいがコミケには一度しか投入しないまま今日を迎えたコミケミーティングバッグを重ね、ポスター入れた長箱を背負っての出撃。……本当に久しぶりの感覚だった。この瞬間だけでも参加決めて良かったと正直思ったね。

サークル参加者も当然入場時には検温と手指消毒、そしてその検問を通過した証明書としてのリストバンドが配布される。目的は今一つ分からなかったんだけど、マスク拒否おじさんの類がすり抜け突破するのを恐れてのことかなー。

f:id:rennstars:20201129211838j:plain:w200:leftしかし中に入ってしまえば、嗚呼、あの懐かしい開場前即売会の雰囲気そのままがそこにはあった。スペース間隔は相当広く、会場の半分しか入れない状態だが、欠席率の低さもあって(恐らく1割程度)スカスカ感はない。先のレポにあったSSF03から3か月、良くも悪くも人が戻ってるということだろう。

身体が覚えているかのようにスペース設営を済ませ、実に10か月ぶりの設営完了ツイートをキメ、ぶらぶらと開場前の場内を回っていると、不覚にもこの段階でもうちょっと泣きそうになった。即売会である。イベントである。明日隕石に撃たれても後悔しないぞとかなり真面目に思った。

もちろん隕石よりもコロナを食らってめそめそ泣く確率の方が遥かに高いのだが、ええい黙れ黙れ。こういうのは雰囲気じゃ。



当日実践編(あとで書く)

実際に当日サークル側に売り子として立ち、そして当然自分も売り子に自スペを任せて買う側にも回ったことで、コロナ禍下のイベントについて事前には気づけなかったことなど、実践的な知見もかなり得られた。

……で、元々この記事はこの実践編パートを中心に書くつもりだったけど、それ以前の時系列描写にエモ記録があまりに長くなってしまったのでこれはこれで別記事を立てようと思う。後でリンクします。

ただ一つ先に書いておくと、参加者としての「心理的負担」に一番なったのは、そもそも警戒意識や対策レベルがサークルによってバラバラなこと「そのもの」だったように思う。この辺はコロナ禍下での他人との付き合い方などにも通じるところがある。結局は相手の警戒レベル、俺は最近これをセキュリティ・クリアランスになぞらえコロナ・クリアランスと呼んでるけど、それを互いに恐る恐る探るところから始めないといけない。

理想を言えば、一つの行動基準が明確になっていて万人がそれに従っていれば何の気兼ねもないのだけど、残念ながら感染症対策にそういうレベルの合意を求めるのは不可能、ということもまたこの2020年の知見であろうと思う。結局「マスクをしましょう」「手を洗い手指を消毒しましょう」ぐらいが全員が同意できる最低線なのだろう。それですらマスク拒否おじさんとか次亜塩素酸水マニア企業とかが出てくるわけだし。

あ、ちなみに鼻マスクなんて人は全然見かけなかったし、唯一アゴマスク野郎が目撃できた限りでは一般参加者で1人だけだった。それも何と言うか、即売会ご存知の方なら分かると思うけど、どの会場にも1人や2人はいる「アンタッチャブル」なタイプのおっさん。このボトムラインは流石にキチンとしてますよ皆様。ありがたい。

久方ぶりのハレの日を終えて

f:id:rennstars:20201204045743j:plain:w200:right命の洗濯。これが一番端的な表現。

いや実際、本当にこの日イベントに参加できてよかった。新刊を用意できてよかった。即売会のあの空気の中で育った人間としては、やっぱり人と人が物理的な場で作品を通じて触れあえることの重要さを思い知ったわけですよ。この日買う側に回って手にした同人誌にはそれを受け取った時の記憶が付いてくるわけで、書店や通販で買ったものとはやっぱり思い入れが変わってくるという事実を改めて……というより、この事態になって初めて意識したように思う。自分が手渡した本にもそういう思いが乗っていればいいなぁ、と素直に思うし。

結局のところ、オンラインでできること、何よりオンラインに対する世間一般の意識自体がこの10か月で飛躍的に伸びたとは思うけど、それでもなお代替できないものがある──という凡コメオブ凡コメ以外に言いようがないのだ、この辺り。

加えて、やはり新刊出せて「本を作れなかった年」を回避したのは精神的にもデカい。負けなかったぞ、負けてねえぞ畜生と思えるのは、再び状況の悪化しつつあるコロナ禍下で生きていく上でも誇張抜きに救いになったと思う。この騒ぎの中で、同人趣味以外にも色んな「生きる支え」が得にくくなっている中、こういう灯は何とかして燈し続けていかんとなぁ、とこれまた凡コメに到るのがむしろ本件の本質を言い当てているのかも。

というわけで。「私については」「これで終わった」(ハリ・セルダン)

願わくば同人誌文化がこの災厄を生き延び、また次のコミケで皆と会えますように。

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