シンエヴァ、ふせったー代わりの箇条書き感想の癖にやたらと長くなってしまったので前後編に分割しました。ちなみに二度見三度見の後にちまちま追記してたりしますが個人用なので場所は明記していません。
こっちはヤマト作戦発動以後から。同じくネタバレ全開なのでよろしくゥー。
繰り返すけど単なる箇条書き羅列なので脈絡とかはないです。
能書き(中書き)
そういえば「どういう奴が書いてるのか」について補足。先日書いた後に人と会話してふと気づいたんですが、自分は確かに年齢としてはエヴァTVシリーズ直撃世代だけどリアタイ勢ではなく、直後ではあるけど後追いタイプなのです。旧劇で追いついて履修して人並みに呆然とした顔で劇場から出ては来ましたがw
ただ、そうやって「直後」から一呼吸置いたおかげか、いわゆるエヴァの謎的な衒学論争からは一歩引いたスタンスで来たし、同人やSSにもハマらなかった。なので、正直言えば「エヴァにそこまで過剰な思い入れは無い」人間が書いているのは確かです。新劇としての純粋な作品力が気に入ってる部分も大きいですしね。Q含めて(←これを言わざるを得ない辺りがエヴァなんすが)。
ただ一方で同時に、年代的に自分のオタク人生は常に視界の端にエヴァが存在していた四半世紀だったわけで、世代として意識しない方が難しい存在であり、完結編と聞いて心乱されなかったわけでもない。旧劇の人間模様(特にアスカなど)には深い思い入れもある。それぐらいの距離感であったという点はお含みおき頂ければ。
ヤマト作戦発動後
- ヴンダー同型艦!!! 同航砲戦!!!!! この辺りはオタクのツボを分かり抜いてる作りだなぁw
- 冬月が本当に輝いてる。というか「老人が一人で後ろ手組んでゆるりと直立不動」で無双するってどんだけ全力でオタクツボを突きぬいてくるのかw
- しかも後に「本来無人機でL結界密度バカ高」ってことが判明する。気合だけで宝具の域に達した爺さんかお前は!
- 「主機はこっちが上」速力勝負! ワシらの初号機がエエ音鳴らしとる……!(ATF生成音) このATF投射推進全開のシーンを見た後で、最後の出撃時のミサトの台詞(後述)を聞くとなお良いのだよなー。
- 衝角突撃(ラムアタック)は艦船のロマン。いいぞもっとやれ。しかもATフィールドあると合理的という。
最終降下
- 戦艦誘導弾、音楽の雰囲気といいSEといい完全に在来線爆弾だよなぁw こういうセルフオマージュと旧劇回収/オマージュが折り重なってて、Q以上に庵野集大成感ある。
- 2号機8号機最終降下。色々大暴れだけど、最後にはやっぱり「ATフィールドを突破力に使う」が「これがエヴァという兵器にしか成し得ない最大の特徴」って感じでテクニカルに好き。
- しかも! 「手を合わせて」! 瞬間、心、重ねて。だが今重ねられているのは手のひら。反発干渉すること無くただ前にだけ展開されたATF……!
- エヴァ観てて「女女クソデカ感情」みたいなナウなヤング語を頭に浮かべるとは思わなかった。
- 最後にさりげなく8号機が「減速ゥ!」してるの、Qの2号機オマージュというか同一テクノロジー描写でもあってこれも好き。
- 13号機と停止信号プラグ。「所詮は人の作った汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン」ああもう、ここでその基本のキを持ち出して、文字通り十字に掛けられた者にロンギヌス(原典の)をブッ刺すというこの構造自体がいい。
- 「2号機が13号機を怖れてる」心の壁ATF! 何気に新劇シリーズではこの設定まるで触れられて来なかったことに改めて気づく。これまた「拾った……!」という感慨で一杯だし、それを「心の壁なんだから自分の側に発生させてしまうこともあり得る」って踏み込んで来てるの最高じゃないすか……!
- こういうとここそ旧シリーズ知らんと新劇つうかシンの面白さを理解しきれんところなわけで。
- アスカ、使徒侵食拾った!! そしてシキナミシリーズ!!!
- いやなんとなく察してはいたけど、新劇においては「両親なんていない、私は独り」が文字通りの真実だったって形のひっくり返しはホント上手いなぁ。
- 惣流。「そこにいるのか」。
- ヴンダー同型艦ズからのMark9-12。……なんか動きがキモいというか、もっと言うと「ナヨい」の意図的だよなぁw(特に最終盤で8号機にやられるところは「エヴァのコスプレしたキモオタのモーションキャプチャかな???ってレベル)
ゲンドウ君登場
- 最深部のLCLカラーな環境光。「浮島」っぽく見えるヴンダー甲板。背後に赤いエヴァ。旧作のゲンドウシーンの再現だなぁ。
- で、即撃ちするリツコ。……ここも感慨がスゴかった。旧作で私怨に対するに自己を仮託したマクロ的な破壊(自爆)を臨み「母さん」のシステムに頼り、挙句に「裏切られた」といって撃たれて死んだリツコが、あの冒頭パリで見せた「覚悟」で秒でゲンドウを撃つ。震えたわ。
- ネブカドネザル・ゲンドウ。正直この辺はあまり驚きは無く。ミサトを「父の落とし前」の構図にちょっと強引にハメよったなとは思ったけど、まー必要よね。
- 3回目視聴時追記:ミサトとリツコがゲンドウに補完計画の能書きを聞かされた後、二人とも腕のバンダナに触れながら「神に屈した補完計画よりも、人間と人間の意志を信じます」的なことを言うんですね。
- この口調がとても祝詞っぽく、また「信じます」など不自然なまでに丁寧語なことで気づいたんですよ。これヴィレ/クレーディトの使徒信条(クレド)なんだろうな、と。キリスト教で信仰の根幹を宣言するみたいなもの。
- これ、エヴァ衒学的なキリスト教要素という意味では無くて。決して強い人ばかりで構成されているわけがないヴィレ、いやミサトやリツコだって「強くあらねばならぬ」だけの人間に過ぎず、そんな彼らが14年もの間(地獄の生活ですよ実際)一つにまとまり目的を見失わぬための言葉として制定された「信条(クレド)」なのかもな、と思うた次第。
- ひょっとしてクレーディトの名前はクレドから来てるのかもね。
- 参考:使徒信条 - Wikipedia
- 初号機、割と原型留めて主機化されてた……ってわけでもないんだよな、なんか形状復帰するし。つうか初号機を始めとするエヴァが自己を再生成する時、本来人間がつけた装甲板(拘束具)って扱いだったはずの外装のまま復元されるの、いやまぁ作劇の都合と言えばそれまでだけど、「自己認識」に依る姿を取ってるって感じで好きなんだよなぁ。映画マトリックスで自分自身のアバターを精神が勝手に再生成するってのとちょっと似てる。
甲板トークからヴィレサイド:ピンク髪、サクラ、そしてミサト
- シンジさん。やっぱり覚悟決まった「まま」だよな。いい。乗れ、乗るな、乗るな、乗れと来て、これ。
- キレるピンク髪。Q時点のシンジに対する態度を俺は十分に「納得」してたけど、できなかったユーザーへの説明アバターでもある……と最初にも書いてたけど、ここでサクラへの呼び水になるとはなぁ。
- 鈴原サクラさん。「怪我すればちょっと痛いけどエヴァには乗れんようになりますよねその方がマシですよね」なんで間桐桜になってるの!w サクラ繋がり!(型月じいさんの感慨)
- いやー、誰もが半ば忘れかけてた「シンジはサクラの命の恩人であり、トウジとの関係性を作った張本人」ってのをここでこうも受けて来るとは。これまた「拾った……!」って思った。
- ピンク髪「明日を生きることだけを考えていこう」や、強いよお前。この汚れた生命を拒む最深部、ヒトが生きていけるとは思えないような世界という「明日」を前に、そこを生きることを考えられるのか、お前は。世代の強さでもあるか。
- ミサトさん。やっぱ同じところ撃たれてんだっけこれ。
- 「彼は未だ自分の保護下にあり」……シンジがネルフに来た日から、ずっと。「全ての責任は私にある」……ずっと、ずっとこの人は変わっていなかった。
- シンエヴァで一番好きなシーンは多分ここです。
- 大人が、大人の責任を取る作品になってた。
- ちょっと「破で行きなさいとか言ったくせにQのあの態度w」とか薄っぺらく揶揄してた一部のオタクにざまあって思った(黒い告白です)
- 裏で8号機が戦ってる同型機主機?シリーズ、いやホントコスプレキモオタみたいな動きをやめろw NO MORE映画泥棒君かと思ったわw
- マリと冬月。なんだろうな、冬月は漫画版のような世界線あるいは感情だけをどこかで経験した彼の贖罪なのか。最後にはユイ君が何とかするやろ、ぐらいな信頼があるようにも見える。
- マリのシンジ推しはなんなんだろな。アスカを経由した思い入れなのか、ユイの忘れ形見というだけなのか。この辺は最後までよく分かってない。
ミサト、最後の出撃
- シンジが行った後、運命でもなんでもなく「仕事に戻りましょう」って言うの最高だよな。これシンゴジのセルフオマージュでもある。
- でも、ミサトは「仕事として人の奇跡を起こす」とも口にする。事務的じゃないんだ、「希望」ってJAに打ち込んだ彼女のままなんだよ(この辺、段々ろくろオタクになってきてた)
- 槍を作るぜ。「リツコには十分でしょ」言ったわ!!!
- 「これだから若い男は」あっ、ちゃんとマヤにも「拾って、克服」させた!!! 地味に感動大きかったなここ。
- ヴンダーに脱出ポッドあるってちょっと笑った。そして決死ではあっても必死では無い、だったんだなぁ。
- ここで一人になり、艦長というよりはヴィレの長としての責務から解放された時、髪を解いてあの姿に戻るミサトが最高だった。口調も戻ってるしさ!!
- 「やっぱ最後は反動推進」。ATF推進とか謎SF駆動もいいけど、サー・アイザック・ニュートンに仕事をさせよう。第三法則。人類は何かを後ろに置いていく以外に前に進む方法を知らぬのだ。……ミサトさん、マジ俺らの世代だわ!!!! 分かってる!!!!!!
- 最後に、あのミサトに母としての言葉を言わせて終わった。シンジのことでも、加持のことでもなく。この上のないミサトの終わりだよ、シンエヴァ。ありがとうございます。
ゲンドウ君解決編
- 正直言うと、割とひねりなくユイユイラブラブチュッチュ以外動機ねえぞゲンドウを自己で説明語り尽くしたなぁ、と思うたこの辺。まぁ解決編だもの仕方ないよね。思ってた以上にアレな過去。
- 特撮ギャグ。この辺は文脈オタク全開のノリだな。個人的にはカヲル座りしてたゲンドウに「お前の思うかっこいいってこれなんだな……w」って深い同情を覚えた。
- 力では無くメンタル戦で今のシンジさんに挑むとか負けフラグにも程があるぞゲンドウ。赤い電車でならもはや負けは無いレベルのシンジさんに。
- とは言え。メンタルエヴァの象徴でもあったあの電車を上手く使って、「肩を叩き、殺してあげる」を実現したなぁ。
- 「そこにいたのか、ユイ」。……遅い、本当に遅い。地球と人類を巻き添えにして宇宙を何周りもして辿り着いたのが、息子の中に嫁が生きているという凡人極まりない、だが人類が唯一見出せる救いとは。
- 「主よ、そこにおられるのですか」。個人的に、好きな言葉を思い出した。死者の存在を感じ、何かを受け取れるただ一つの方法。大人になったな、か。
- さくさくと下車されるゲンドウ。本当にシンジさんの敵では無かった。
- 繰り返しになるけど、正直和解も含めて「あっさり」感はあった。というかゲンドウ、本当に作中最弱の豆腐メンタルだった。ある意味で。
シンジさんのターン
- アスカ。まぁ個人的には、やっぱり着ぐるみからケンスケが出て来るのはちょっと唐突感あった。いくら村で「そういう関係性」を匂わせてたとしてもね。でも、ただそれでも、「シキナミ」にも救いがあった。
- あの砂浜じゃん。
- 肉体≒自己投影もちゃんと成長してるアスカ。俺は考察勢じゃないからあんま深くは語れないけど、これ「どっちなのか」はあえて言及されないんだろうな。でも、そこに彼女がいてシンジと言葉を交わしたというだけで、旧劇のアスカも救われたのだと俺は思うよ。うん。
- カヲル君回収するんだなー。加持君に美味しいとこ持ってかせるんだなー。シンジさんがどんどんと人を解放していく。ベタだけどいい流れ。
- そして、レイか。「髪だけは伸びやがる」とアスカがぼやき、「そこに神も穢れも宿る、それは姫が人である証」と言ってのけたマリを、こうしてレイの側で、しかもビジュアルだけで拾ってくるの本当に上手すぎる。
- レイは、人として「そこ」にいたのだという救い。
- ネオンジェネシス!w ……まーでもちょっとギャグになりかねない旧タイトルを回収するというオタクの基本作法その一も、背後に旧作のシーンを投影しながらというメタの中で拾うと言うのは上手い。
- ちょっと、流出したスターウォーズep9の「本来ありえた脚本」に出て来るR2D2記録全投影を思い出した。少し(SWが得られなかった何かをエヴァが得つつあることに気づいて)泣いた。マジで。
- 打ち寄せる赤い波、「序」を最初に見た時に真っ先に思い出した旧劇のラスト。それが青くなるだけで伝わる、万感の思い。
- この辺、感情が入り乱れてて時系列がちょっとあやふや。すまんな。
終劇
- 成長シンジ。マリとの関係性。実のところ、この辺にあんまり思い入れは無い。こだわる人はこの辺気になるのだろうけど。
- (なんかあれだけで「二人がもう付き合ってる」みたいな感覚は全然無かったので、しばらくしてそういう感想を見て割とびっくりした。むしろ「なんやそのカップリング脳!」みたいな思いもあるが、この辺はエヴァ同人と縁が無かったが故の認識かもしれんので別に反論はしない)
- この辺りではもう怒涛の解決編からの感情にゆったり身を委ねてた感がある。
- 個人的に、二人が駆け出した先が「実写的でありながら、実写では無いリアルCG風」ってあたりにとても寓意性を感じたなー。
- エンドロールでメインキャストの面々の名前が流れてきた時、唐突に「ああ本当にエヴァが終わる」って実感が湧いてきた。あの瞬間に何故か思い切り涙が溢れてきた。これが、感慨。
……というわけで。ほとんど整理もつけない感情感想優先の流し書きでした。
シン・エヴァンゲリオン、そしてエヴァ、これにてひやうし幕。本当に、見事でした。
おまけ
くっそくっそくっそエヴァはいいなぁシンエヴァであんな終わらせ方させてもらえて! シリーズ要素端から拾いながら脂マシマシ出来悪二次創作臭も無く!! そもそも新劇場版みんないい出来で!!! ああ……スターウォーズは、ep9はなんでああなった……慢心、環境の違い……
— 星崎連維@願わくば次回コミケ (@rennstars) 2021年3月8日
かなりマジの心の叫びです。
「ディズニーの有無」「やめろ」
— 星崎連維@願わくば次回コミケ (@rennstars) 2021年3月8日
そして真面目な話、ディズニーのマンダロリアンの宣伝商材になってしまったSWに較べ、庵野氏が版権を自分のところに移し、最後まで手綱を握ったからこそ成し得たシリーズ完結だとは思うしね。まさに大人として、本当にエヴァという作品とそのファンに尽くしてくれたのだなぁ、と素直に思う。パンフで監督の前田氏も書いてたけど、俺たちはしっかりとまごころでもてなされたのだ。これを良き終わりと言わずして何と言おう。
おわり。